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[ 新聞記事から目に留まった話題 (2) ]

 [新聞整理で、記事の中から目にとまったことを 〈2〉 ]

事務所で保存記事を選択するため、一覧を続けている。

記事の中から、目にとまったことからちょっと考える。
≪過去の反省をもとに安全監視・モラルを整えつつ、
 新たな治療法開発を目指して、未来医療に加速!≫

◇医療安全 医療の進歩は目覚ましいものがあるが、初歩的ミスなど人
が介在するところでの安全が向上していないのでは!
 また、プロフェッショナルとしての医療者の質・モラルが問われる
ケースも少なくない。
 確か近々医療安全学会の大会があるのではと思う。
 プロフェッショナルからかけ離れた、いくつかの事例の見出しを掲げ
てみたい。

せっかく実現した。脳死肝移植成功後の別処置上でのミス
 『読売新聞(2011.11.15付)[脳死肝移植男性 透析ミスで死亡 京大
病院]』C型肝炎による肝硬変に加え、腎不全を併発した患者が脳死肝移
植の手術後の人工透析治療の際、病院側のミスによって死亡したと発表。
… 使用する器具を取り違えたのが原因。京都府警が業務上過失致死容
疑で調べている。  
 『日本経済新聞(11.15)脳死移植後の男性 器具を誤り死亡 京大
病院』
 『毎日新聞(11.15) 京大病院 器具後装着 脳死肝移植後、透析中の
男性死亡』… 死亡約1時間後、血液データから誤装着が発覚した。

京大病院といえば、脳死肺移植後で患者が脳障害を起こし意識不明
 『毎日新聞(2011.10.18) [脳死肺移植後の患者が脳障害 京大付属
病院]』… 副病院長「患者は意識がはっきりしない状態だ。医療ミスが
あったかは調査中で分からない」… 。
 『読売新聞(11.18)』[脳死肺移植後に40代女性意識不明 京大病院]』
  … 副院長「患者は集中治療室で治療中。現在。病院関係者の聞き
取り調査を行っている。京都府警にも事実関係を報告する予定だ」と説
明している。同病院では2006年3月にも脳死に伴う肺移植を受けた30代の
女性が脳障害で意識不明となり、同10月に死亡。09年4月まで、脳死の肺
移植を自粛していた経緯がある。今回の移植は再開後11例目。
 18日の続報『毎日新聞(11.19)[手術中に装置停止 肺移植意識不明、
因果関係調査へ 京大病院] 』

 10月に放射性物質の入った検査薬を子供に過剰投与。投与したのは医師
の資格のない放射線部の技師長補佐で、独断で投与量を決めるなどの医
療行為をしたとして、医師法違反で病院・同技師宅を捜査。診断に役立
てるための鮮明な画像を得るためとの理由だが、検査対象はものでなく
人であること無視している典型に思える事件。
『「甲府病院・技師宅を捜索 放射性物質過剰投与 医師法違反の疑い」
日本経済新聞(2011.10.17付)』… 病院によると、1999年から今年にか
け、日本核医学界の推奨基準の40-2倍の放射性テクネチウムの入った薬
品を、腎臓検査を受けた15歳以下の84人に静脈注射した。技師長補佐は「
子供は動き回るので、短時間で鮮明な画像を撮影するため」と説明。技師
長補佐の一部同僚は過剰投与を認識していた。
『「市立甲府病院を捜索 放射性医薬品の過剰投与 医師法違反容疑」
毎日新聞(2011.10.17付)』
 
医療者のモラルも低下。まったく自己本位で、それも医師自身のための、
臓器の売買による生体腎移植。
暴力団関係者も含んだ、組織的犯罪で刑事裁判へ。移植した病院は、親
族からの提供と思っていたとの見解で、結局処分対象から外れた。しかし、
医療者自ら画策した臓器売買で、一般の患者や良識ある医療者・医療機関、
移植にかかわる関係者全体への信頼に傷をつけた。

また、医師らが元病院を退職した際、転職先病院に患者も転院を勧め、
転職先の病院から「患者引抜による報酬」を受けたとされる問題。当事者
側は、「合意に基づくもので、問題はない。独立資金として保管している」
「患者の引き抜き報酬とは考えていない」としている。
 『毎日新聞(2011.10.19)[堺の医療法人 患者転院 1億円報酬 220人
透析担当の医師に]』

 特に医師がそろばん勘定や、プロフェッショナルに徹し切れていない背景
には、日替わり医療政策、腰の浮いた医療という日本の医療基本がないた
めであると思いますが、医師だけでなく看護師等にも積極的に枠を超えた
医療を担わせるなど、これまでの医師の変化やそれに基づく制度改革を広
げないと、位置ぬ特権的な集団に医療は独占され続け、ひいては患者の医
療参加の妨げになり続ける。まして狭い仲間内の足の引っ張り合いで、せ
っかくの特定看護師制度からさらに向上を目指すのを身内が引きずるりお
ろそうとしている記事も目立つ。
それぞれの医療関係者のプロフェッショナルへの脱皮が必要だ。

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