血友病の根治を目指して
合併症克服に関わる研究班の報告会が、主任研究者の大学で開かれた。
栃木県に出向き、途中の風景を眺めると、東京近郊でもみられた稲刈り後の藁が
田んぼに扇子のようにたくさん置かれている。隣では、麦が蒼く初々しい葉を出し
ていた。空は快晴、なんともすがすがしい。
いつまでも、血液凝固因子製剤の補充ではないだろう、血友病から解放される日
を目指して根治療法の研究を原告団は国に求めた。
この研究班は、その要請に応えての設置で、研究者の努力は素晴らしいと感じて
いる。
現在は、かなり現実味のある状況に来ているのではと報告会に出席するたびに思う。
遺伝子を運ぶものとしてAAVベクターも安全度が増しているようだし、まずは血友病B
での実現が早いのかと考える。
もちろん海外でも研究は進められている。今年開かれたアルゼンチンでのWFHでも
例外ではなく多々発表があったという。血友病の生涯治療を考えると、患者の苦痛、
QOLの向上、遺伝性疾患としての家族の精神的負担の軽減、そして高額医療費か
らの開放など、この研究の成果に期待することは大変大きい。
血液凝固異常症のQOL向上の研究班による患者・家族のこの成果への期待度は
80%にもなる。上記の大きなメリットを考えれば、この研究にささやかな厚生科研
費を毎年投入するより、現実を早めるためにも、また早くも人への実施も目前にある
ことから、先行投資として研究費にもっと大きな規模の投入をすべきだ。
当事者も、国にしっかり要望していきたい。根治を目指しての遺伝子レベルの研究
は、肝炎治療、インヒビターの発生・解明と回避治療、関節への細胞シート導入に
よる関節症治療等々、驚くほど多岐の再生医療研究開発につながるものと驚きとう
れしさがわいてきた。それこそこの前講演で聞いたiPS細胞による再生医療も近くに
なったような気がする。
患者・家族は情報化社会でもっと治療研究開発を知り、自分に最適な医療の実現も
自ら活かしていくようになることを考えていきたい。
帰りは大渋滞の中疲れて帰ってきたが、やはり進む成果に、気分は明るい。