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長期療養に関わる聞き取りが始まりました

薬害エイズが発生してから25年以上が経過しました。あの頃、10歳だった方は30代に、30歳だった方は50代になりました。その間、患者の体調や生活もずいぶんと変わってきました。

和解後、HIV医療は急速に進歩し、エイズで亡くなる方は急減しましたが、HIV・HCV重複感染により、肝臓の状態が極めて悪化している方が増えています。また、血友病による関節障害も加齢により一層進み、日常生活に不便さを感じている方もいます。

体調や日常生活での不安を抱えながら、両親の介護や自分の老後、生計の維持など、将来の問題も考えていく必要があります。もし、未婚のため、配偶者や子どもがいない場合は、これらをすべて一人で対処していかなければなりません。

長崎大学病院はばたき福祉事業団では、この問題取り組むために、長崎大学と協力して「HIV・HCV重複感染血友病患者の長期療養に関する患者参加型研究」(研究代表者:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・山下俊一教授)を行うこととなりました。

この調査では、患者を対象に聞き取りとアンケートによる調査を行ないます。心身の健康、社会経済状況、将来設計などを調査し、長期的視野に立った政策提言を行い、これからの人生をより良く生きるための長期療養のモデル作りを目指します。

そして先週の日曜日、最初の聞き取り調査を行いました。

今回は6名の方を対象に実施しました。比較的の体調の良い方が多く、日常生活も過不足なく行えているようでした。ただ、3年後、5年後、10年 後のことを伺うと、将来的に体が動けなくなった場合にどうなるかという不安がよぎり、「う~ん」と回答につまる方がいました。将来的な関節の状態に不安を感じている人が多いようでした。

患者自身と家族の高齢化や長期療養の視点からみると、将来に対する漠然とした不安を誰もが抱えています。この不安を少しでも解消するために必要 なものを探っていくことになりますが、今後は、さらに体調の悪い方や経済的に厳しい方への聞き取りも行う予定で、想定していなかったような問題が出てくる かもしれません。

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