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被害者の今を語る ~ある被害者のメッセージから~ Vol.1

薬害HIV感染被害者は、すでに650人以上の方が亡くなりました。
感染被害者はおよそ1,500人ですので、死亡者数は4割を超えています。そして残念ながら、その数は今も増え続けています。

和解勧告に当たっての所見の中で、国に対して、根治できる治療薬の開発および治療体制の整備拡充に向けて衆知を結集して取り組むようにとの指摘がありました。そして、1996年3月29日の歴史的な和解により、エイズ治療・研究開発センター(ACC)やブロック拠点病院の設置や抗HIV薬の迅速導入など医療体制の整備が進み、またHAART療法も導入され、95年前後には年間60人以上の被害者が亡くなっていたのが、99年には年間で9人にまで激減しました。「エイズは死の病ではない」と言われるようになったのはまさにこの頃で、和解の力がいかに大きかったかがわかります。
しかし、亡くなる方がゼロになることはありませんでした。なぜか?それは、薬害HIV感染被害者の9割以上が感染していると言われているC型肝炎により、患者の肝臓の状態が極めて悪化し、肝硬変、肝がんで亡くなる方が増えてきたからです。特に2000年以降、それは顕著に現れています。

今年の夏、一人の被害者が亡くなりました。
彼もまた、肝がんが原因でした。自分の死を無駄にしてほしくない、他の患者のために何とか役に立ちたいと、彼は最期の瞬間まで病床で訴えていました。
私たちは、彼の思いを受け継ぎ、被害者一人ひとりの命を守っていかなければなりません。死の直前、彼はいくつかの言葉を残してくれました。

このブログでは、被害者の現状を皆様に知っていただきながら、彼の残した言葉を、そして思いを伝えていきたいと思います。

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